遅くなりましたが、秋の花粉症についてお話しをします。

代表的な秋の花粉症

  • ブタクサ(キク科)
  • ヨモギ(キク科)
  • ススキ(イネ科)
  • カナムグラ(アサ科)

 東海村でよく観察されるものはこんなところでしょうか。これらはどういう植物かというと、要は雑草です。道路脇、公園周囲に多く生息しています。スギなどと異なり遠くに花粉を飛散させることはなく、本体から数10メートルから数100メートルと言ったところでしょうか。風向きや風の強さにもよりますが、重要なのは近づかないことです。

 秋の花粉症はスギ花粉症と同様に「鼻水」、「くしゃみ」、「鼻づまり」、「目のかゆみ」、「皮膚のかゆみ・かぶれ」がありますが、花粉の粒子の関係から「咽頭痛」や「咳」で発症することもあります。お子さんでは鼻が痒くなり頻回に鼻を触ることで「鼻血」として発症することもあります。
 ちょうど、風邪が流行ってくる時期ですので、花粉症か風邪か判断が難しいこともあります。また、長引く咳があれば花粉由来の喘息の可能性もあります。当院には肺機能検査機器もありますので、喘息の診断も可能です。秋の花粉症が気になったら自己判断で薬を飲むのではなく、薬局の薬剤師に相談したり、耳鼻科で診察を受けるようにしましょう。

他の重要なアレルゲン

 秋の花粉を紹介しましたが、秋に最も多いアレルギー性鼻炎の原因はダニです。
「ダニは通年性アレルギーじゃないの?」と聞かれることがありますが、夏場に増えたダニの糞や死骸が舞い上がり、アレルギー症状が強く起こるのがこの時期なのです。毛布を出したことで症状がでるパターンも多く、毛布を使い終わったら押入れにしまうタイミングでクリーニングにかけるとよいでしょう。

 予防としては、こまめな床(カーペット)の掃除、ソファの掃除、布団の掃除です。布団はコインランドリーでの乾燥が有効です。最近は防ダニ効果のある布団カバーや枕カバーがあるので、それを使用するのもよいでしょう。

 症状がつらい場合は内服薬、点眼薬、点鼻薬を使用します。ダニアレルギーはスギ花粉症と同じく舌下免疫療法が可能です。以前のブログもご覧ください。

それはブタクサ!?

 患者さんから「私はブタクサアレルギーです」と言われることが多く、いろいろ話をしたところ、ブタクサでは無さそうな方は結構います。ブタクサは秋の黄色の雑草!というイメージが強いようですね。

これはブタクサですか?

いいえ、これはブタクサではありません!
これはセイタカアワダチソウです。

 ブタクサと似ていますが、ブタクサは葉っぱの形がギザギザ(ヨモギ様)しています。一方、セイタカアワダチソウは葉っぱは真っすぐです(笹の葉様)。ブタクサは風で花粉を飛ばし受粉するスタイル(風媒花)ですが、セイタカアワダチソウは虫に花粉をつけて受粉するスタイル(虫媒花)ですので、アレルギーの原因にはなりにくいと考えられています。
 アレルギーにならないから安心かと思いきや、セイタカアワダチソウは北米原産で日本の侵略的外来種ワースト100にランキングされております。地下茎を持ちアレロパシー(他感作用)で他の植物が生育することを妨げ、自身は地下茎からどんどんと芽を出して増えていきます。ススキもそうですが、繁殖を始めた場所では他の植物の姿はほとんど見えなくなり、何年もしないうちにセイタカアワダチソウだけが繁茂すると言われています。

アレロパシーを起こした場所です。
東海村にはこのような場所が沢山あります。残念ですね。

秋の花粉はもう少し続きます。症状がつらい方は我慢せずに医療機関へご相談下さい。