先日、遺伝性難聴検査の講習会のため長野県松本市にある信州大学へ行ってきました。

茨城では春の陽気を感じさせる今日この頃ですが、長野県はまだ雪がチラつき肌寒い気候でした。

 信州大学の耳鼻咽喉科学講座は遺伝性難聴の研究で有名な教室です。前教授の宇佐美先生の功績は大きく、耳鼻咽喉科学講座の教授を退官され、今は人工聴覚器学講座の特任教授に就任されております。信州大学は日本の遺伝性難聴の研究を牽引しており、当日は日本各地から多くの先生が集まり症例報告が行われていました。
 現在、遺伝性難聴の分野はすごい勢いで研究が進んでおり、新しい発見が相次いでおります。教科書の知識はすぐに古くなり、このような最先端の研究施設の講習会に行く事で知識のアップデートが出来ます。

 出席者の殆どは全国の大学病院や総合病院ばかりで、開業医は私を含めて2名だけ(多施設研究では多くのクリニックが参加しております)でした。ただ、宇佐美教授が仰るにはこれからは開業医で行う遺伝子検査が重要になってくるとの話です。
 難聴患者がまず受診する場所はクリニック(開業医)です。生活にあまり困っていない軽度難聴の方は「はい、軽度難聴です。補聴器を使用するまでではありませんね。」で終了となり、それ以上を精査をする機会がありません。難聴で生活に支障が生じ、開業医がピンと来た患者さんだけが大きな病院へ紹介され、精査が行われます。そのため、クリニックで行った遺伝子検査と大学病院で行った遺伝子検査では、見つかる遺伝子変異(バリアント)の種類が異なるようです。開業医が研究に参加する価値は高いと考えます。
 茨城県で難聴の遺伝子検査が可能な施設は少ないです。遺伝子検査は遺伝情報を扱うセンシティブな検査ですので、遺伝カウンセリングが必要な方は茨城県立中央病院へご紹介致します。
 詳細を知りたい方は以下をご覧ください。