6/25は休診とさせて頂きましたが、補聴器の特性検査の1つである実耳測定の見学のため防衛医科大学に行ってきました。

現在、当院では2ccカプラを用いて補聴器の音響特性を確認しております。日本では一般的な方法ですが、欧米では実耳測定が推奨されており広く普及しております。また、日本聴覚医学会の補聴器適合検査の指針でも実耳測定について言及しております。

補聴器適合検査の指針(2010)

  1. 語音明瞭度曲線または語音明瞭度の測定
  2. 環境騒音の許容を指標とした適合検査
  3. 実耳挿入利得の測定(鼓膜表面音圧の測定)
  4. 挿入形イヤホンを用いた音圧レベル(SPL)での聴覚閾値・不快レベルの測定
  5. 音場での補聴器装用閾値の測定(ファンクショナルゲインの測定)
  6. 補聴器特性図とオージオグラムを用いた利得・装用閾値の算出
  7. 雑音を負荷したときの語音明瞭度の測定
  8. 質問紙による適合評価

実耳測定のメリットは、ズバリ実際の補聴器装用者の鼓膜面上で音が確認できる事です。外耳道の形や補聴器の形態で、音の入り方はかなり個人差があります。特に小児では客観的な評価が難しく極めて有用です。

当院では2ccカプラによる補聴器音響特性測定で概ね満足する結果を得られておりますが、稀に適切かどうか判断が難しい症例があります。そのような場合に、参考となるのが実耳測定です。実際に実耳測定を行うには高い器械を購入する必要があるため、すぐには当院では行えませんが、今後導入を考えていきたいと思います。

より正確な補聴器診療が行えるように今後とも日々精進していきたいと思います。