難聴と認知症

 2017年にランセット国際委員会で「難聴」が認知症の大きな危険因子と発表されました。また、難聴があると、耳から脳への情報刺激が減少し認知症が発症しやすくなり、さらに難聴のために会話が減り、周囲の人と疎遠になり、個人的な活力と社会活動の低下をきたして認知症の進行も早くなると考えられています。WHOは、難聴に対して対策を取らない場合、治療などのコストを含めた経済的な損失は年間計7500億ドル(約80兆円)と試算しました。

 難聴は高齢者に限った病気ではなく、早い方では40歳代から始まります。働き盛りで、経済の大きな一角である中高年世代の方々の難聴による経済的損失を防止するのに、早期の補聴器導入が急務ですが、日本は海外先進国に比べ対応が遅れているのが現状です。

補聴器購入費の一部助成

 我が国でも「難聴」が徐々に注目され始めております。特に、新潟県では「新潟プロジェクト」と称し、新潟県内全市区町村で高齢者の補聴器購入費用の一部助成が実施されています。対象者も医師が補聴器の装用を必要と認めた方、補聴器装用により、コミュニケーション能力の維持・向上について一定の効果が期待できると医師が判断した方、など一定の条件があります。東京23区でも多くの区が助成を開始しています。

 茨城県でも、中高年者の補聴器購入費助成事業を行っている自治体がありますが、補聴器を購入するだけで助成金がもらえる状態となっております。これはあまりよろしくない状態で、「今なら安く買えますよ」といった詐欺まがいな販売が横行し兼ねません。補聴器は「買ってもよく聞こえない」というクレームがよくあり、全国の消費者生活センターで補聴器購入トラブルの相談は多くあります。日本耳鼻咽喉科学会と日本補聴器販売店協会は補聴器の購入は「補聴器相談医」の診察を受け、適切な検査を受け補聴器の必要あれば書面による紹介状を貰い「認定補聴器技能者」から補聴器を購入するように薦めております。

 助成金は正しく使わなければ意味がありません。詐欺まがいな補聴器販売に税金を投入していいはずがありません。東海村が茨城県の模範となるように、村議会へ陳情書を提出致しました。本会議が6月1日にありますので、そのときに議員への目に入ります。請願でないため、審議されるわけではありませんが、村民が声を上げる事が重要です。

陳情の概要

  1. 身体障害者手帳の交付対象とならない45歳から74歳の難聴の方に対し、補聴器の購入費の一部助成を求める
  2. 助成にあたって、医師が補聴器の装用が必要と認め、補聴器の装用効果が分かる検査結果が必須である事を盛り込むこと

 今回は院長1人の陳情ですが、村民の声が多くあがることで審議される可能性が高くなります。院内に署名台を設置致しますので、ご協力して頂ける方は署名をお願い致します。
また、請願であれば審議可能です。陳情に賛同される方で、議員さんの知り合いの方がいましたら、是非以下のメールフォームでご一報ください。