コロナ渦のため建築開始をストップしておりましたが、諸事情があり計画が全て白紙となり、土地・建築会社を変更することになりました。

建築会社は見出し画像にあるように、ハウスメーカーである三井ホームに決定致しました。

三井ホームは古くからクリニック開業のサポートをしており、「三井グループ」という大企業であることを活かし土地探しから、設計、インテリアコーディネート、建築後のアフターメンテナンスなど、徹頭徹尾サポート体制が整っております。

複数のメーカーを検討し、悩みぬいた結果、三井ホームに決めました。他メーカーの提案も素晴らしく甲乙つけがたいものではありましたが、最終的な決め手は「営業力」「設計力」でした。

営業の方は豊富な知識をもっており、レスポンスがとても早い!(これが一番重要)、せっかちな私にとって非常に助かります。結果がどうあれすぐに返事を頂けるのは有難いものです。現在、打ち合わせの船頭として頑張って頂いています。

設計に関して三井ホームは三井ホームデザイン研究所というグループ会社をもっております。当事務所にはクリニック設計の経験のある設計士が複数在籍しており、事務所が手掛けたクリニックを実際に見学することができます。今回見学させて頂きましたが、実際のクリニックを見学することでテンションがあがります。後述しますが、クリニック設計は専門性が高いので経験値の差がでてきます。三井ホームデザイン研究所の豊富な経験のもと、動線に配慮した素晴らしい設計を提案して頂きました。

選定過程を少し紹介します。

ハウスメーカーを選んだ理由は?

 ハウスメーカーは設計から施工まで一定のクオリティでパッケージ化されており、土地に対して建築面積が○○平米であれば標準装備で○○円位、スペックを挙げると○○円位追加になる、と概算が比較的明朗に分かります。また、ハウスメーカーは基本的に契約するまで料金が発生しません。一般住宅のように住宅展示場に赴き、複数社にプランを作ってもらい比較検討することができます。

料金がかからないとはいえハウスメーカー側からすると契約がとれないとタダ働きになります。一般住宅と比較し規模、費用が大きくなるため、契約前でも関わる人間や時間が増えます。お互いの事を考え、慎重に必要最低限のメーカーを選びます。

 ハウスメーカー以外となると、設計事務所か地域密着型の工務店にお願いすることになります。クリニックや病院を専門としている設計事務所は少なく、そのような所は素晴らしい設計となりますが設計費用が割高です。工務店の場合は付き合いのある設計士などに設計をお願いし建築という形になりますが、値段も様々で店によってクオリティに差が出る可能性があります。

 下の表如く現在の日本は人口減少に伴い、新設住宅着工戸数が年々減少しています。

(千戸)
年度総戸数持家系借家系
H111,226788438
121,213784429
131,173721452
141,146682464
151,174707467
161,193716477
171,249723526
181,285738547
191,036594441
201,039583456
21775451325
22819521298
23841544297
24893566327
25987612375
26880514366
27921531390
28974541433
29946531416
30953555398
R元884543341
新設住宅着工戸数の推移(総戸数、持家系・借家系別)
国土交通省

ということは、家を建てる仕事も減っているということで、仕事がなければ建築会社は倒産してしまいます。知人の実体験ですが、依頼した建築会社がコロナ渦で倒産してしまい、アフターフォローができず建物(クリニック)に不具合が生じたとき非常に困ったという話を聞きました。

 以上から、一定のクオリティが担保され、価格も高くなり過ぎず、長期的に確実にアフターフォローが受けられる(と思われる)大手ハウスメーカーに決めました。

どのハウスメーカーを選ぶのか?

 次はハウスメーカー選びです。どのメーカーも営業トークが素晴らしく、打ち合わせ後はここのメーカーに決めよう!と思うのですが、家に帰ってしばらくすると他メーカーと迷う、を繰り返します。しかし、それでは埒があかないため1つ1つ決めていくことにしました。選定にあたりまずは構造体から決めました。

構造体を決めよう

 構造体は大きく分けて木造、軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造があります。それぞれにメリットデメリットがあります。まず、重量鉄骨、鉄筋コンクリートは今回のクリニック規模ではあまりコスパが良くないため選択肢から除外しました。後は木造か軽量鉄骨となります。現在はYouTubeなどで情報収集が簡単にできます。ひたすら建築関係、税務関係のYouTubeをみて勉強し、自分のスタイルには木造が良いと考え木造系ハウスメーカーを選びました。

木造!?火事になると大変だし構造的に弱いのでは?と思うかもしれませんが、耐火建築物にもなるし、海外では木造高層ビルなども建築されております。クリニック規模であればまず問題はありません

 しかし、木造系ハウスメーカーも複数あり、それぞれ工法や基礎仕様が異なります。大雑把に分けると、工法は在来軸組工法か2×4(ツーバイフォー)工法などの木造枠組壁工法になります。工法の良し悪しは専門家によって言うことが異なり、素人には正直よく分かりません。メーカーも良いことしか言わず、何となく医療業界に通ずる所があります。
 ある建築士が「2×4工法は自由度が低いが、ルールがしっかり定められている以上、自由な在来軸組工法に比べ安全性が担保される。」と言っていました。医療においても診断・治療ガイドラインがある病気に関しては、ガイドラインを遵守することで一定の有効性・安全性が担保されます。もちろん、在来軸組工法でもしっかり構造計算をやれば安全な建物ができますし、今回相談したメーカーであればどこも安全性の高い建物が出来たと思います。しかし、私は建築素人で、素人がゆえに制約の多いとされる木造枠組工法(2×4)が良いと思いました。

結局、建築規模から構造計算が必要になるため、工法が選定に大きく関わることはありませんでした。

 基礎に関しては地盤が最も重要で、きちんと地盤調査をし、必要に応じて地盤改良をすれば布でもベタでも大差ないと考えます。各ハウスメーカーはデフォルトで基礎の種類が決まっていますが、地盤調査の結果で臨機応変に変えているようです。

外壁を決めよう

 構造体を決めた後は外観のイメージとなる外壁材です。外壁材によってイニシャルコスト・ランニングコストが大きく異なります。壁材は主にモルタル、サイディング、タイルがあります。各壁材の詳細は割愛しますが、各ハウスメーカーによって推し壁材があります。中でも積水ハウス(シャーウッド)のベルバーン、パナソニックホームズのキラテックタイルは外観デザインも機能も素晴らしく、外壁だけでメーカーを決めてしまう程の威力があります。 
 外壁はデザインと機能とコストのバランス、つまり好みと予算のバランスで決まります。私は目地が非常に気になる人ですので、目地が極力目立たない外壁を選びました。

レイアウト

 建物の構造体、外壁の選定に並行し、各メーカーに設計図面を作って頂きました。クリニックを運営する上で、人の動き決めるレイアウトは最重要項目です。
 クリニックの設計を専門にしている設計士は数少なく、大手ハウスメーカーといえどそうそういません。とはいえ自分がこれから一生働くであろう場所であるため妥協も出来ません。様々な要望を各ハウスメーカーの設計士さんにお伝えし、図面を考えて頂きました。
 医療行為を行う特殊で専門的な職場、診療科によって動線が大きく異なり、さらに診療科が複数科ある単一クリニック、となると少々苦戦を強いられておりました。どの設計士さんも最終的には素晴らしい図面を作って頂いたのですが、三井ホームデザイン研究所のみ、初回からほぼ完璧なレイアウトでした。実はこの設計士さん、「クリニック設計が専門」、というわけではないのですが、長年クリニック設計に携わっているベテランの方で、医療従事者の目線だけではなく患者側、業者側、スタッフ家族側など、あらゆる角度からみて最も好ましい「カタチ」を提案して頂きました。今まで様々な病院やクリニックへアルバイトに行った経験から自分の理想のレイアウトを描いていましたが、それは医療者側目線だけであったことが分かりました。最終的にこの設計に魅せられ決定致しました。

ちなみに、最終選定時に営業の方と設計の方にクリニックの立体模型を作って頂きました。その立体模型は開院したら展示したいと思います。

立体模型

現状は?

現在、土地調査が終わり、内装や医療機器選定中です。
順調にいけば年明けから建築開始となります。隕石でも落ちない限り、もう大きな遅延はありません。
進捗状況を定期的にアップしていきたいと思います。